コンビニ その1

あれは一昨年の冬の夜、友達と伊勢に行った帰り道。高速代をケチって迂回路の山道を1人帰ってた俺は、街灯すらない山道にひっそりと佇むサークルKサンクスを見かけた。「周りに民家とかも無いし、商売していけるのか?」思いながらも寒かったのでバイクを停め、コーヒーで暖でも取ろうと店の中に入ったが、案の定全く他のお客がいない。どころか、レジに店員もいない。まぁそのうち出てくるだろうと特に気にせず暖かいコーナーの缶コーヒーを一つ手に取り、レジへと向かう。「...らっしゃいませ。」生気の無い初老の男性がレジの奥の扉から姿をあらわす。お金を払い店を出た。寒い。12月とは言え冬の夜、奈良の山場の気温は氷点下に近づくこともある。缶コーヒーなぞ気休め程度にしかならないことを知りながら、束の間の温もりに生を感じる。「よし、行くか。」暖かくなったらまた来ようと思いながら、俺は帰路へと単車を走らせた。